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現状から理想像へ!As-Is/To-Be分析で課題を可視化する方法

ロジカルシンキング
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1 はじめに

 こんにちは、「制度を改善したいけど、どこに課題があるのか明確にできない」「現場の声はあるけれど、どこから手をつけるべきかわからない」と感じているときに役立つフレームワークが「As-Is/To-Be分析」です。また、営業の立場でも「今のやり方で本当に成果が出ているのか?」「もっと効率的な営業活動ができるのでは?」と感じているとき、この分析を活用することで、業務の見直しや改善のヒントが得られます。

この手法は、今の状態(As-Is)と理想の状態(To-Be)を明確にして、そのギャップを埋める方法を考えるという、課題解決の基本ステップです。個人のキャリア、業務改善、組織改革まで、幅広い場面で活用できます。

この記事では、As-Is/To-Be分析の基本的な進め方と、具体的な事例を紹介します。

2 As-Is/To-Be分析とは?

2-1 As-Is(現状)

As-Isとは「現在の状態」を指します。問題がある現状、理想とかけ離れている実態などを、事実ベースで書き出します。

2-2 To-Be(理想)

To-Beとは「目指したい理想の状態」のことです。改善後の姿、ありたい姿をイメージしながら明確にしていきます。

2-3 ギャップを埋める施策を考える

As-IsとTo-Beの間にはギャップ(差)が生まれます。この差を埋めるための「やるべきこと=アクション」を考えるのが、分析のゴールです。

※具体的な事例については、次章「As-Is/To-Be分析の具体的な進め方」で詳しく紹介します。

3 As-Is/To-Be分析の具体的な進め方

ステップ1:現状(As-Is)を具体的に整理する

事実や課題を定性的・定量的に把握しましょう。感覚や印象ではなく、観察やデータに基づいた記述がポイントです。

たとえば「新入社員の早期離職」に関しては、単に「辞めてしまった」ととらえるのではなく、以下のように現状を多面的に整理するとよいでしょう:

  • 離職時期はいつ頃が多いのか(入社1か月以内、3か月以内など)
  • 退職理由の傾向(仕事内容、職場環境、人間関係、キャリア不安など)
  • フィードバック機会の有無(1on1の実施状況、初期研修の内容)
  • 離職率が高い部署や配属傾向

これらを客観的なデータ(アンケート、面談記録、実績など)をもとに整理することで、根本的な要因を見極めるための土台が整います。

ステップ2:理想の状態(To-Be)を描く

理想とする目標や状態を、できるだけ具体的にイメージしましょう。「◯◯ができている」「△△の状態になっている」など、行動・結果に注目します。

たとえば「新入社員の早期離職」のケースであれば、「入社1年後にはチームに溶け込み、主体的に仕事を進めている」「配属先で上司やメンバーと良好な信頼関係を築いている」「自身のキャリア目標について定期的に上司と対話しながら見直している」などがTo-Beの姿として考えられます。

また、理想の状態をイメージする際には、数値や定性的な基準を組み合わせることも有効です。たとえば「定着率90%以上」「3か月に1回キャリア面談実施」「オンボーディング期間終了後の満足度80点以上」といった具体的な状態があれば、後の振り返りや改善にも役立ちます。

ステップ3:ギャップを埋める方法を考える

As-IsとTo-Beの差分から、やるべきことを洗い出します。「何を変える必要があるか?」「そのために何ができるか?」を順を追って検討します。

新入社員の早期離職を防ぐためのギャップ解消策としては、以下のようなアプローチが有効です:

  • 配属前の段階で業務内容や職場の雰囲気について具体的に説明し、期待とのギャップを減らす
  • 入社後1〜2週間以内にフォロー面談を実施し、不安や疑問を早期にキャッチする
  • メンター制度を活用し、日常的に相談しやすい環境を整える
  • 上司との1on1を月1回の頻度で定期的に行い、キャリアへの不安や成長実感について対話する
  • 初期配属先の受け入れ体制(OJT担当、指導方針、チームの協力体制など)を可視化し、人事と連携してサポートを強化する

こうした施策は、すぐにすべてを完璧に導入するのではなく、優先順位をつけて一歩ずつ整備していくことが大切です。

4 新人の早期離職についての対話

次は、少しイメージがしやすいように、人事担当者にコンサルタントが質問をしているという形式で事例を見て行きましょう。

コンサルタント:最近、新入社員の離職率が高いと聞きましたが、具体的にはどのタイミングで辞めてしまう方が多いのでしょうか?

 

人事担当者:そうですね、入社してから1か月から3か月以内に辞める人が多いです。ちょうど配属されてすぐくらいの時期です。

 

なるほど。そのタイミングで何が起きているのか把握していますか?

現場でのフォローが薄い、期待していた仕事内容と違うという声があります。あと、先輩に相談しにくいと感じる新入社員もいるようです。

それは現状(As-Is)として整理できますね。では、理想の状態(To-Be)はどんな姿でしょう?

入社1年後も意欲的に仕事に取り組んでいて、自分の役割を理解して動ける状態でしょうか。あと、安心して相談できる関係性も築けていると理想です。

いいですね。では、現状と理想のギャップを埋めるには、何が必要だと感じますか?

たとえば、メンター制度やOJTの質を高める研修、配属前に業務内容をしっかり伝えることですね。あと、定期的なキャリア面談も必要だと思います。





まさにそれがギャップを埋めるアクションです。優先順位をつけて、まずは現場でできるところから始めてみましょう。

 いかがでしょうか?たとえば今回の例だと、コンサルタントが「具体的にどのタイミングで辞めてしまうのか?」と尋ねることで、人事担当者は離職時期の傾向に意識を向けるようになりました。さらに「そのタイミングで何が起きているのか?」と聞か、普段気づかない業務上のボトルネックや環境要因に目が向くようになりました。

 このように、コンサルタントとの対話を通じてAs-Is/To-Beを整理していくことで、課題が言語化され、実行可能なアクションが見えてきます。対話形式の最大のメリットは、「問い」によって思考を深めることができる点です。単なるヒアリングではなく、相手の頭の中にある情報を構造的に引き出すプロセスです。また、「理想の状態はどのようなものか?」という質問は、To-Beの状態を言語化させる重要なステップとなり、そのギャップを考えるきっかけになります。

 また質問は、社内の立場や遠慮を超えた視点を提供します。その結果、人事担当者が「これまでは気づけなかった課題」や「実行可能なアイデア」に自然とたどり着きやすくなります。

このような対話を積み重ねることで、As-Is/To-Be分析は単なる理論ではなく、実践的な改善アクションの原動力へと変わっていきます。

5 Q&A

Q1:業務だけでなく個人の目標にも使えますか?
A:もちろん使えます。キャリア形成やスキルアップの設計にもぴったりです。

Q2:To-Beがふわっとしてしまいます…
A:「どうなっていれば満足か?」「成功と呼べる状態は?」と自分に問いかけると、具体化しやすくなります。

Q3:ギャップが大きすぎて何から始めればいいか迷います
A:ギャップをさらに細かく分けて、優先順位をつけて少しずつ改善していくのがポイントです。

6 まとめ

As-Is/To-Be分析は、「今」と「理想」を比べることで、課題を明確にし、改善への道筋をつけるシンプルで強力なツールです。

仕事だけでなく、学習、キャリア、チーム運営などあらゆるシーンに応用可能です。

もっと深く知りたい方には、『ビジネスフレームワーク図鑑: すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70』(著:小野義直)がおすすめです。As-Is/To-Beだけでなく、問題解決に役立つ多くのフレームワークがわかりやすく紹介されています。よろしければご参考ください。それでは。

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