営業職はAIに奪われることはない?その理由と今後求められる能力開発とは?

野村総合研究所が2015年に発表した研究では、国内の601種の職業について、10~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業において、AIやロボット等で技術的には代替可能との結果となりました。

具体的にどのような職業がAIやロボットで代替可能になるのでしょうか。

本研究では、代替可能性の高い職業としては、一般事務、銀行窓口係、警備員、電車運転士、自動車組立工、通関士などがありました。

一方、代替可能性が低い職業は、インテリアデザイナー、経営コンサルタント、雑誌編集者、幼稚園教諭、ケアマネジャー、外科医などです。

ここで、注目されるのは、これまで代替が難しいとされていた、ホワイトカラーの職種が含まれているということです。

ここで、日本でも多くの方が従事されている営業職は、代替される、されない、とどちらにもランクインするケースもあるなど、非常に議論になっている職種です。

営業職の将来はどのようになるのでしょうか?
今回は、営業職について詳しく見ていきましょう。

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営業職は奪われない?営業が3つ無くならない理由

AIの導入によって人間が商談に集中できる

もともと営業職は、会議のスケジュール設定やメールの送受信などの雑務が多いものです。

このような雑務をAIに任せることで、将来的には、より商談に時間が割けるようになります。

また、営業においては、相手の信頼関係を築き、適切なタイミングでアプローチをすることが求められます。タイミング計算したり、適切な情報の管理等をAIと役割分担することで営業担当は、さらに商談に集中することになります。

AIには収集できない情報を人間は感じ取ることができる

AIは膨大なデータから、必要な情報を抽出することを得意としています。

一方、人の感情をデータから読み取ることや、課題を整理するような作業は、AIにはまだまだ、不得手な部分なので、この意味でもAIとの役割分担が可能です。

またAIは、あらかじめ設定された質問には、迅速に回答できますが、突飛な質問には答えることはまだ難しいので、まだまだ人の介在する余地があります。

人は、自分ごととして仕事ができる

一つの購買行動に対して、平均6.8人もの人が関わっているといわれています。

営業の仕事の中でも、関係者の調整は非常に重要な仕事です。

人を動かすには、感情の機微を読み取りながら、自分ごととして、責任感を持って調整する 必要があり、その点は、まだAIには難しい業務です。

AIが営業の仕事を完全に代行したら、それこそ競合他社との比較は難しくなるので、信頼感や共感創りで差別化を図るため、結局、企業はエース級の人材を営業担当に配することになります。

以上に見てきたように、営業職という仕事は、AIの不得手とする能力領域も多く、簡単には代替できない職種であることがわかります。

ただ、上記の様な人間的な能力も完全にAIが上回るとしたら状況も変わります。

近い将来、そんな状況は起こりうるのでしょうか?

最近注目される「シンギュラリティ」とは?

シンギュラリティという言葉をご存じでしょうか?
もともとは、数学や物理学の世界で使われる言葉で、日本語では「特異点」といいます。
簡単に言うと、「AIが人間を超える点」がシンギュラリティと理解すればよいのだと思います。

未来学者のレイ・カーツワイルが著書のなかで、2045年にシンギュラリティが起こるとして、 関心が高まっています。

実現を予想する材料としては、今後の爆発的なコンピューター性能の向上と 人間の脳の機能をコンピューター上で再現する技術です。

近年で、急速なAIの発展により、期待感が高まっているのですが、
まだ実現されていない技術革新が必要なので、あくまでこのまま技術が加速度的に進歩したら実現できるのではないかという予測ということですね。

人間の能力をAIが完全に上回るかということは、現時点ではわかりません。
いずれにしても、30年近くはかかるという試算です。

AIの進化と今後の人の能力開発

囲碁や将棋の世界で、トップ棋士がAIに負ける時代です。

今後技術は、私たちの考えられないスピードで、急速に進歩していきます。私たちも未来を見据えた能力開発が求められるでしょう。

代替されにくい職業の特徴としては、創造性やコミュニケーションが必要とされるもの、
非定型のもの、定義できないような体系化されていない業務などが挙げられています。

AIは、大量の情報を記録したり、そこから特定のデータを抽出するのは得意ですが、コミュニケーションを取りながら問題点を整理するのは、今はまだ苦手です。

高い専門性の高い問いに瞬時に回答をしてくれる商談支援ロボットなんかは、当たり前のように開発されるかもしれません。

営業職には、商談を次に進めていくための関係づくりやコミュニケーションなど、絶妙な人間らしさを鍛える必要性がより高くなりそうです。

ヒューマンスキルとして、コミュニケーション能力、EQ、リーダーシップ、このあたりは、現時点でも役に立つものですし、今後を見据えた能力開発としても、投資価値のあるものだと思います。

ただ、一番怖いのは、思考を停止させ、AIの言うままに動くことは避けたいものです。

今回の記事の参考文献はこちらです

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